やむを得ず高校を中退してしまった方のなかには「高校を中退してしまったが、大学へ進学したい。」と考えている方がいるかもしれません。高校中退者が大学受験を目指すためには、どのような方法があるのでしょうか?

高校中退者が大学を受験するためには、まず何らかの方法で『高校卒業証』か『高卒認定試験合格証』を得る必要があります。

具体的は方法としては、次の3つのうちのいずれかを選ぶことになります。

  1. 別の高校へ編入学して残った単位を取得する
  2. 通信制高校等に入学して残った単位を取得する
  3. 高校へ入学せずに高卒認定試験を受けて合格証書を取得する

『高卒認定試験』の詳細については、文部科学省のホームページに載っているのですが、文章量がとても多いので、初めての方はなかなか理解しにくいようです。このたびは、初めての方でも理解しやすいように、要所をかみ砕いて解説しますので、どうぞご覧ください。

高卒認定試験の概要について

高卒認定試験は、平成17年度に開始された制度で、文部科学省が「高校を卒業した人と同等以上の学力がある」ことを認定する制度です。これは、昭和26年度に開始された大学入学資格検定(大検)を引き継いだ形となっています。

高卒認定試験の日程や問題の難易度について、その大まかな内容をまとめてみました。興味のある方は、参考にご覧ください。

高卒認定試験の日程

高卒認定試験は、年に2回(8月と11月)実施されています。
令和5年度の受験日程は次の通りとなります。

【令和5年度 第1回】
受験案内 令和5年4月3日(月曜日)配布開始
出願期間 令和5年4月3日(月曜日)~5月8日(月曜日)※5月8日の消印有効
受験票等の送付 令和5年6月下旬頃
試験日 令和5年8月3日(木曜日)、8月4日(金曜日)
結果通知 令和5年8月29日(火曜日)発送予定

【令和5年度 第2回】
受験案内 令和5年7月18日(火曜日)配布開始
出願期間 令和5年7月18日(火曜日)~9月8日(金曜日)※9月8日の消印有効
受験票等の送付 令和5年10月下旬頃
試験日 令和5年11月4日(土曜日)、11月5日(日曜日)
結果通知 令和5年12月5日(火曜日)発送予定

 

高卒認定試験の試験科目と合格要件

高卒認定試験に合格するには、各教科の必修の科目に合格する必要があります。

教科  試験科目 科目数 要件
国語 国語 1 必修
地理
歴史
世界史A、世界史B 1 2科目のうちいずれか1科目必修
日本史A、日本史B、地理A、地理B 1 4科目のうちいずれか1科目必修
公民 現代社会、倫理・政経 1または2 現代社会1科目または倫理・政経2科目のいずれか必修
数学 数学 1 必修
理科 科学と人間生活、物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎 2または3 以下の①、②のいずれかが必修
①科学と人間生活1科目と物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎のうち1科目(合計2科目)
②物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎のうち3科目(合計3科目)
外国語 英語 1 必修

 

高卒認定試験の試験問題の難易度

『高卒認定試験』の試験問題は、主に中学生から高1生までに学習する内容から出題されており、大部分が基礎学力を判定する問題で構成されています。ですから、『高卒認定試験』の試験問題の難易度は、『共通テスト』の問題と比べると、かなり易しい問題といえます。

『高卒認定試験』の過去問題は、文部科学省のホームページからダウンロードすることができます。さっそく、令和3年度の過去問題をダウンロードしてみました。

具体例として、数学の過去問題を取り上げてみます。下の図は、数学の試験のなかで最も出題頻度の高いといえる2次関数の問題です。

令和3年度 高卒認定試験問題 数学(一部抜粋)

令和3年度 高卒認定試験問題 数学(一部抜粋)

過去問題を見ると、基礎学力を確認するような内容になっており、かなり易しい問題です。過去に進学校に通っていた生徒であれば、楽に解けるレベルの問題となっています。ですから、別の高校へ編入学したり塾に通ったりしなくても、自主学習だけで合格できる生徒もいるようです。

高卒認定試験の合格ライン

それでは、高卒認定試験の合格点の目安は何点くらいなのでしょうか?

合格点の目安は、1科目100点満点中40~50点前後といわれています。ですから、受験する全科目が50点を超えれば、合格する可能性が高いといえるでしょう。

合格ラインは、さほど高くはないのですが、受験する科目が多いので、不安に感じている方がいるかもしれません。しかし、次のように様々な免除制度がありますので、事前に確認してみましょう。

  • 一度合格した科目は次回以降の受験時に免除となる
  • 高校在学時の単位の取得状況により科目の免除を受けられる場合がある
  • 英検・数検などを取得により該当科目の免除を受けられる場合がある